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執筆者の写真yoko kobayashi

不思議の国のSusie

更新日:2023年7月20日

幼い少女アリスが、白うさぎを追いかけて不思議の国に迷い込み、さまざまなキャラクターたちと出会いながらその世界を冒険する物語が、ご存知「不思議の国のアリス」ですが、

先日私は、そのスージー版を体験することとなった。


カナダのメープルシロップ作りを生業とする両親のもとに生まれたスージーは、幼いころから大自然の中から聞こえてくるあらゆる音を浴びて、いつもそれらと会話をしながら毎日を送っていた。けれど会話だけでは飽き足らず、その内ピアノを奏でて答えるようになったという。コミュ力抜群の少女だ。


そんな彼女が、後にさまざまな国の仲間と出会い、不思議の国を探検することとなる。


パリの路上で柔らかい日差しを浴びながらパフォーマンスしていた、優しい壮大な音を奏でるラファエルが、まずフロントとして呼ばれた。


またイタリアのマフィアの家の次男坊で、次男坊なだけに家業は継がず、音楽の道にのめり込み、とても彩り豊かな音を奏でるアルバーノが同じくフロントで呼ばれた。


多民族から成り立つシンガポールで生まれ、何故かたまたま周りはやばい仕事に就いている人たちばかりで、知り合いはそんな人たちばっかりだったけど、彼は環境に流されることもなく信念を貫き、実直でとても深いぶっとい生音を響かせるシン。


そして、香港(イギリス領)で育ち、その地区のマーケットを牛耳っている影のボス・ウォンは音楽全体をシャープに時にはお道化ながら支えるこのクインテットの影のボスでもある。


召集された4人は、風貌は独特の雰囲気を醸し出し怪しかったりするけれど(まぁそれがチャーミングなんですけど)、実は皆紳士で、少年の心を忘れない、スージーと一緒に演奏するのが大好きなイカした仲間たちだ。



Susieは、音楽は「動き」です、と教えてくれているようなとてもキュートな言葉を発していた。まるで彼女は音の中で故郷の森の中を楽しくスキップして遊んでいる夢でも見ているかのよう。そして立派に音楽を引っ張っていくとても魅力的なリーダーだ。


1、 2,、3、 4 という動きの中のエネルギーがひしひしと伝わってくるシンの生音は、深くぶっとくグイグイと迫ってくる。エネルギーが動く快感が4回あるから4拍子なんだよと教えてくれている。



ウォンは、音楽は「流れ」です、とでもいうようなしなやかな言葉を発していて、その「流れ」は激流だったり緩流だったり、スージーが育った大自然のさまざまな流れを表現しているようでもあった。



そしてフロントのお二人、同じ楽器のラファエルとアルバーノ。

大体同じ楽器奏者が二人一緒に奏しているのを目を瞑って聴くと、どっちがどちらの音かはっきりと分かるものだけれど、この二人はそれに輪をかけて異なる音世界の持ち主だ。

ところが二人同時に奏していても、音楽全体にとても溶け込んでいて、それでいてそれぞれの個性ある世界を十分に熱く表現することのできる素晴らしい面々。

何だかとろけるようだったなぁ。



「不思議の国のSusie」

上映日2023.07.16

上映時間 20:00 ~22:30


cast

スージー: 小太刀のばら piano

ラファエル : 宮野裕司 alto sax , flute

アルバーノ : 津上研太 aito sax, flute

シン : 安東昇 contra bass

ウォン : 野崎正紀 drums


provided by Aketa's Shop

sound: 島田正明


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スージー曰く次回は涼しくなったころ上映されるとのこと。

でも「涼しくなる前にも演ろうよ。」とアルバーノは言っていたから、もしかしたら

もう少し前に聴けるかも。


「不思議の国のSusie」まだ観たことのない方は要チェックですよ。


よくワンちゃん猫ちゃんが爆睡中に、手足がピクピク動いていることありますよね。

あれ、きっといい夢でも見てるんだろなって思うんです。

そんな夢の中に入り込めて覗き見ることができる、そんな感じなんです。

どんな夢を見ているのか、音を聴けば分かる気がするんです。


のばらさんは「私ってソロ部分(アドリブ時)、これといって言いたいことがある訳でもないの。」と言っていた。

深い言葉だなぁ、私には真の意味を感知することはできなかったけれど、

きっと彼女の中では、言いたいことを音で表現するのではなく、演奏中には言いたいことを嬉しそうに発している夢、皆と音で楽しく遊んでいる夢を見ていて、その模様が自然と音になり音楽が作られていくのかなって。


私も調子がいい時は、自分の音も周りの音も良く聴けているのとは別の、弾いているのは自分なんだけれど、聴こえてくる全ての音を第三者として聴けるときがあります。

私とは違う誰かが弾いている音を私自身が聴いているような感覚です。


まぁ滅多にあることではありません。5年~10年に一回あったらいいくらいです。


でものばらさんはいつもライブでそういった感覚がある人なのではないだろうか?

今ふとそんなことを思ったりするのでありました。


ピアノという楽器は、中学生?の時の音楽の教科書にも出てくる通り、

オーケストラの絵や写真で、弦楽器、管楽器、打楽器と分類の説明がされていますが、

ピアノだけはその枠から外れています。

それは、モデルにもよりますがピアノには230本前後の弦(ピアノ線)が張られていることからの弦楽器説と、実際にはその弦をハンマーで打って音を鳴らすことからの打楽器説があり、かわいそうに分類から外されちゃってる訳です。(たぶん打楽器説が有力だと思うのですが)


私はピアノは打楽器だと思っていますが、何故なら鍵盤を指で軽く押さえたときの指先の感触、あのコツーンと感じる感触は正に弦を打っている。


何故こんな話をするかというと、ピアニスト小太刀のばらさんから聴こえてくる音は、そのコツーンを感じ取れる音なんです。

打弦の音がするのとは全く違います。(打弦の音がするのは弾き方が悪いか、楽器が相当消耗し切っていて、ハンマー表面が硬くなっていたり弦溝がいくつもできてるような場合ですが)


そうではなくて心地よいコツーンという感覚を感じ取れる音だということです。

とても丸い柔らかい、ちゃんと芯の音があって、音が立っているっていうことなのでしょうか。

音が立って硬質な音・フレーズのニュアンスはよくありますが、のばらさんの場合は音が立っていてそれらはしかもまろやか。


皆それぞれに良い音してて素晴らしかったです。

セカンドのダラー・ブラントの曲で、研太氏がめっちゃいい音していたので、「セカンドでリード替えましたか?」って本人に聞いたら、リードじゃなくて吹き方を変えたのだそう。

ほんと素敵でした。


そして宮野さんのところだけ、奏する音と相まって、変わらず今もずっとパリのやわらかな日差しが降り注いでいるんだなぁって思いました。maestro



ここからは余談(おもしろ話)ですが、

ラファエルとアルバーノのように、管楽器奏者同士でステージに立てていいなぁって思うことは多々あります。この日も二人で楽器を見せ合いながら何か話してたりして。


でも実はのばらさんと同じステージに立ったことが一度だけあります。


それはアケタの店30周年記念ライブが2か月間に渡り行われた時のこと。

アケタさん企画のその連日のLIVEにはそれぞれタイトルが記されており、

アケタさんのピックアップメンバーで組まれました。


LIVEタイトルには、

「フルートの真実」(おそらくフルート奏者が3人位フロントで集められたんだろうなと想像する。たぶん松風さんもかな)


「ロマンスグレイ・ピアノサミット」(これはそのままなんだろな)


「タイセイ・ホウカイ楽団」(おそらくアケタさん得意の大政奉還をモジったもので、青木タイセイさん他ホーン奏者が何人かいたんだろうな)

などがあり、のばらさんと私は(笑)(嬉)何とアケタさんの超お気遣いにより「美人女流サミット」に組まれてました。


その時はas宮野裕司さんも一緒で、もう一人ピアニストの堀真知子さん、ベースは故・嶋友行さん、ドラマー・亀山賢一さんだったのを覚えています。


おもろいのはこのことじゃなくて、何故か「ダンディ・ピアノサミット」に組まれちゃったピアニスト清水くるみさんが「えー?!何で私ここなの?私も美人女流サミットに入れてよー!」ってアケタさんに談判したらしい。


もぉー!くるみさんったらオモロすぎる!てな話をのばらさんと話したのでありました。


おわり















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